おばあちゃんのすてきなおくりもの
『おばあちゃんのすてきなおくりもの』
作 カーラ・スティーブンズ
訳 掛川恭子
絵 イブ・ライス
題字 山脇百合子
出版社 のら書店
発行年月 1990年11月
※原題『STORIES FROM A SNOWY MEADOW』
価格 ¥1,100+税
雪の降る、冬の日のこと。モグラと、トガリネズミと、ハツカネズミは、モグラの家で、パッチワークの布団を作っていました。できあがった布団をどうするかは、まだ決まっていません。
そんなモグラの家から歩いて行ったところに、ハタネズミのおばあちゃんの家がありました。おばあちゃんはとても歳をとっていましたが、1人で暮らしていました。3匹は、おばあちゃんのおはなしが大好きで、おばあちゃんの家に行っては、おはなしをねだりました。
そして、3匹は思います。
おばあちゃんの誕生日に、あの布団をプレゼントしようと・・・。
* * * * * * *
なんでも知っていて、やさしくて、3匹の大好きなおばあちゃん。
歳をとっているとはいえ、わたしにとって、ハタネズミのおばあちゃんは、どこか凛として映りました。いつも3匹をあたたかく受けとめ、3匹にとってぴったりな言葉や、おはなしを聞かせてくれるおばあちゃん。ところが、そんなおばあちゃんとも、別れのときがやってきます。
人との別れは、必ずやってくるもの。やさしい文章に、かわいらしい挿絵がふんだんに添えられた1冊ですが、ここで綴られていることはとてもリアルです。「死」と向き合うことは、生きることについて考えるきっかけになります。別れは、とても寂しい。けれど、わたしたちが生きていくうえで、避けては通れないもの。それならば、どう向き合うか、ということが大切なのだと思います。それはきっと、先へと続いているものだから・・・。まあるい表紙のリースは、なんだかそんなことを意味しているようにも思いました。
言葉では伝えにくい大切なことを、小さな動物たちに託して、あたたかな物語として描かれています。