おおきなおおきなおいも

鶴巻幼稚園・市村久子の教育実践による
『おおきなおおきなおいも』

作・絵 赤羽末吉
出版社 福音館書店
発行年月日 1972年10月1日


雨が降って、
あおぞらようちえんのいもほり遠足は、
1週間延期になりました。

そのあいだに、
おいもは大きくなっているかな?

“ちがう こーんなに おおきいんだ”
“ちがう ちがう こーんなに いーっぱい おおきいんだ”

そう言って、
子どもたちは、おいもの絵を描き始めました  

* * * * * * *

わたしにとって、この『おおきなおおきなおいも』は、子どものころの思い出に、強烈なインパクトを残した絵本のひとつです。

とにかく、うらやましかった。絵本に出てくる子どもたちが、ほんとうに楽しそうで。
そんな風にわたしが羨ましかったのは、大きなおいもをプールに浮かべて船にすることでも、みんなでおいもパーティをすることでもなくて、何枚もの紙をつなげて大きなおいもの絵を描くことでした。

14ページにもわたって描かれている、おいも。そして、「うわー おおきな おおきな おいも!」とびっくりする先生。うれしそうな子どもたち。

絵本の中に出てくるくらい、大きな絵を描いたことはなかったけれど、とてもリアルだった。その感覚を、今でも覚えています。

大人になって読み返してみると、子どもたちの絵って、こんなにデフォルメされていたっけ?とびっくりしました。とぼけていて、とてもかわいい。
でも、子どもの姿なんて目に入らないくらい、わたしはこの“おいも”に夢中だったんだろうなあ。

おおらかで、元気で、たっぷりの力で満ちあふれている。こんな絵本が、わたしは大好きです。