うさこちゃんとたれみみくん
『うさこちゃんとたれみみくん』
文・絵 ディック・ブルーナ
訳 まつおかきょうこ
出版社 福音館書店
発行年月日 2008年6月15日
※2010年4月1日改版
価格 ¥700+税
うさこちゃんのクラスに、
新しい男の子が入ってきました。
名前は“だーん”と言いましたが、
みんなと違い、片耳がたれていたので、
みんなからは“たれみみくん”と呼ばれました。
ある日のこと。
学校からの帰りみち、
うさこちゃんはだーんに聞いてみました。
「みんなが あなたのこと
たれみみくんって いうの いやじゃない?」と
* * * * * * *
うさこちゃんは、きっと、ずっと考えていたんですね。みんながだーんのことを、“たれみみくん”と、呼ぶことを。
だから、思い切ってだーんに聞いてみて、やっぱりだーんもいやだったんだ、と知ったときは、もっと一生懸命考えました。
うさこちゃんのように、自分で気づく子どももいれば、クラスのみんなのように、誰かに言われて初めて気づく子どももいます。うさこちゃんの友だちにはいなかったけれど、たとえ提案されても、耳をかさない子どもがいることだってあります。
子どもたちの世界でも、むずかしいです。みんなが、という訳には、なかなかいかないかもしれません。
それでも、うさこちゃんのように気づいてあげられる子が、1人でもいたら・・・。だーんにとっても、そしてうさこちゃんにとっても、大切な出会いだったんじゃないかな、と思います。