くんちゃんとふゆのパーティー
『くんちゃんとふゆのパーティー』
作 ドロシー・マリノ
訳 あらいゆうこ
出版社 ペンギン社
発行日 1981年11月
価格 ¥950+税
※原書『BUZZY BEAR’S WINTER PARTY』1967年(イギリス)
冬ごもりの季節になりました。
雪を見たことのなかったくんちゃんのもとにも、初めての雪が降りました。
くんちゃんは、お母さんと雪ぐま(くまのかたちの、雪だるま)を作りました。
ゆきはきれいで、すてきです。
けれど同時に、くんちゃんは知りました。森の動物たちにとって、雪は、動物たちの食べものを隠してしまうものなのだと。
そこでくんちゃんは、家から食べものを持ってきて、動物たちのためにパーティーを開きました。
そして家に帰ると、今度はお父さんのためにパーティーを開くことにしました
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こぐまの「くんちゃん」シリーズの1冊。
「クリスマス」という言葉は出てこないけれど、もみの木の飾り付けだったり、お父さんからのプレゼントだったりと、クリスマスを感じるおはなしです。
それにしてもくんちゃん、これから冬ごもりの準備をしなければならないというのに、家にある食べものを持ってきては、小鳥やうさぎやりすに、どんどんあげてしまいます。
「きみたちみんなに パーティをしてあげよう!」と言って。
それなのに、お母さんは怒るどころか、今度はお父さんのためのパーティーをするというくんちゃんの思いを受けとめ、協力します。「ツルコケモモなんか かわいいんじゃない?」なんて言って、飾りの提案をしたり、クッキーを焼いてくれたり。
お父さんの帰りを待つくんちゃんの姿は、とても愛おしいし、眠ってしまったくんちゃんを見て微笑むお父さんとお母さんの表情は、本当におだやかです。
愛がたっぷりつまった、クリスマスにぴったりの1冊です。