りんごのき
『りんごのき』
作 エドアルド・ペチシカ
絵 ヘレナ・ズマトリーコバー
訳 うちだりさこ
出版社 福音館書店
発行日 1972年3月10日
※原書『O jabloňce』1954年発行(チェコ)
価格 ¥800+税
マルチンという、小さな男の子がいました。ある雪の日、マルチンが窓の外を覗いていると、1本のりんごの木が目につきました。りんごの木をうさぎがかじれば、お父さんが木に金網を巻きつけてくれました。
りんごの木の花にミツバチが集まって心配になったときは、お母さんが「みつばちは おいしい りんごが なるように おてつだいしてるの」と、教えてくれました。
春が過ぎ、夏がきて、秋になって・・・。
りんごの木の1年を描いたおはなしです。
* * * * * * *
窓から見えるところにある木なのだから、突然現れたものではないはずだけれど、マルチンが少し大きくなって(3、4歳くらいでしょうか)、まわりに興味を持ち始めたから、きっとこの木に目がとまったのかな、と思います。
マルチンが初めてこの木を見つけたときは、葉っぱが1枚もついていなくて、まるで棒のようだったりんごの木。けれど、季節の移り変わりとともに、葉っぱを茂らせ、花を咲かせ、実をつける様子は本当に豊かで、とても朗らかな気持ちになります。
収穫の喜びにも満ちあふれていて、育てるっていいなぁと思う1冊です。
表紙の、いちごミルクみたいなピンク色もとってもきれい。りんごのようなほっぺをしたマルチンも、本当にかわいいです。
※同じマルチンのシリーズに、『マルチンとナイフ』(福音館書店刊)があります。