とこちゃんはどこ
『とこちゃんはどこ』
作 松岡享子
絵 加古里子
出版社 福音館書店
発行日 1970年7月1日
※月刊「こどものとも」1970年4月1日発行
価格 ¥800+税
赤い帽子がトレードマークのとこちゃんは、元気いっぱいの男の子。元気すぎて、ちょっと目を離した隙にすぐどこかへ駆け出してしまうのが、お母さんの困りどころです。
そんなとこちゃん、ある日は市場へ、またある日曜日は動物園へ、夏になると海水浴場へ、秋になるとお祭りへ・・・と、やっぱりいつでもとことこと駆け出してしまいます。
お話に沿って赤い帽子のとこちゃんを探していく、絵さがしの絵本です。
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場面が進むにつれ人の数も増えて、とこちゃんを探すのがどんどん難しくなっていきます。最後はデパートなのですが、これがまた人の多いのなんのって!とこちゃんを探すのも一苦労です。
このデパートが、“百貨店”というよりは本当に“デパート”らしいデパートで、わくわくします。上の階には食堂があるし、絵本の中で描かれてはいないけれど、屋上にはきっと小さな遊園地があるんだろうなぁなんて想像してしまいます。
とこちゃんを探す以外にも、「青い帽子の男の子、どーこだ」とか「白い水着に白い帽子、ゴーグル付けてへんな体操してるおじさん、どーこだ」とか、好きな問題を作って探しっこをしても楽しいです。
かの有名な絵さがしの絵本と違うのは、なんといっても最後ところ。
松岡享子さんのたった2行の言葉が、この絵本をあたたかく締めくくっています。