たいせつなあなたへ あなたがうまれるまでのこと

『たいせつなあなたへ あなたがうまれるまでのこと』

作 サンドラ・ポワロ=シェリフ
訳 おーなり由子
出版社 講談社
価格 ¥1,200+税


“ すこし きいてね
あなたが うまれるまでの こと
おぼえていたら いつかおもいだしてね

あなたに あえるひを
とうさんと かあさんが どんなに たのしみにしていたか
あなたが うまれてきてくれたことが
どんなに うれしかったか  

* * * * * * *

あたたかくて優しい言葉で始まる本書では、赤ちゃんが生まれるまでの、お母さんとお父さんの気持ちを、動物に例えて綴られています。

例えば、表紙にも描かれているしろくまのページでは、
“ かあさんは しろくまの かあさんみたいに まるくなって
あたたかく あなたを つつんで ねむったよ ”

コウノトリのページでは、
“ ふたりで そらを みて
ふたりで みどりの においを かいだんだよ ” というふうに。

絵は、鉛筆で描かれたようなシンプルなラインで、使われている色はオレンジ1色だけ。
けれど、シンプルだからこそ、綴られている言葉はしっかりとこちらに伝わってきて、赤ちゃんが生まれてくる日を心待ちにしている様子が感じ取れます。

フランスで生まれたこの絵本。翻訳されたのは、『だんだんおかあさんになっていく』や『ことばのかたち』の著者である、おーなり由子さん。
彼女のやわらかで心地よい言葉が広がって、胸がじんわりあたたかくなるようです。

子どもに、「あなたが生まれてきてくれて、うれしかったよ」という想いを伝えたいときに。
お母さんお父さんにとっては、そんな気持ちを思い出させてくれる1冊です。