もりのてぶくろ
静かな森に落ちていた、1枚の葉っぱ。
森の動物たちがやってきては、「わあ、きれい」「すてきな はっぱだなあ」なんて言って、自分の手を葉っぱに当ててみます。
でも、大きすぎたり、小さすぎたり。葉っぱと同じ大きさの手をした動物は、なかなか現れません。
するとそこへ、お母さんといっしょにきのこ狩りをしていた男の子が通りかかって・・・?
* * * * *
絵を描かれたナターリヤ・チャルーシナ(Charyshina-Kapystina Natalia)さんは、ロシアのサンクトペテルブルグ在住の画家さん。
サンクトペテルブルグ市は、文学やバレエが盛んな芸術都市で、『罪と罰』のドストエフスキーなどの作家も、同市を拠点に活動されていたそう。
そんな土地で生まれ育ったチャルーシナさんは、動物画家のエブゲーニイ・チャルーシンさん(『どうぶつのこどもたち』、『はじめてのどうぶつえほん』など)を祖父に、同じく動物画家のニキータ・チャルーシンさん(『北の森の十二か月』など)を父に持ち、お2人と共通して、動物や自然の絵を豊かに描かれる画家さんです。
本書もまたとても繊細なタッチで、惚れ惚れとする美しさ。
短い文章で繰り返しが楽しいおはなしですが、きのこや木の実、小さな生きものなども描かれていて、秋の空気を感じます。
そういえば、降矢ななさんの『ナミチカのきのこがり』にも、同じようにきのこ狩りを楽しむ人たちの様子が描かれていました。
降矢ななさんは、現在スロヴァキア在住。どちらも東欧に住む画家さんということで、どこか通ずるところがあるように思いました。