おうさまのくつ
『おうさまのくつ』
文 ヘレン・ビル
絵 ルイス・スロボドキン
訳 こみやゆう
訳 こみやゆう
出版社 瑞雲舎
発行年月日 2015年12月1日
※原書『THE SHOES FIT FOR A KING』1956年
価格 ¥1,400+税
むかし、ある町の靴屋が、立派な靴を作りました。
みんなは口を揃えて、その靴をほめました。まるで王さまが履くような靴だ、と。
そんな訳で、靴はすっかりうぬぼれやになってしまいました。
ある日のこと、靴は靴屋を飛び出して、王さまの住むお城へと向かいました
* * * * * * *
本作は、ヘレン・ビルさんのデビュー作。靴が“うぬぼれや”になってしまうなんて、ちょっぴり困ったおはなしです。けれど、その姿はかわいくて、なんだか憎めなくて。
おはなしが進むにつれ、その様子にはハラハラするけれど、うぬぼれやの靴は、そんなことおかまいなし。とは言っても、そこまでうぬぼれてしまっては、さすがにうまくはいきません。ところがその後、思いもよらぬ展開が待っていて・・・。
昔話風のゆかいなおはなしで、スロボドキンさんの絵がぴったり。ほがらかなユーモアもあって、思わずくすっと笑ってしまいました。小宮由さんの、声に出したくなるようなリズミカルな語り口調も、とても好きです。
靴って、そうそう、そういうもの。
最後はにっこり、うれしくなりました。