ふゆねこさん

『ふゆねこさん』

作・絵 ハワード・ノッツ
訳 松岡享子
出版社 偕成社
発行年月 1977年4月
価格 ¥1,200+税
※原書『THE WINTER CAT』


灰色の、1匹のねこがいました。
夏に産まれたこのねこは、はじめての冬を迎えます。降り続いた雪は、やがて野原を覆いました。

「ねこさん、ねこさん」子どもたちは呼びます。
「おいで、はいいろの ふゆねこさん。」

ふゆねこと呼ばれたそのねこは、野生のねこです。けれど子どもたちは、ふゆねこを見て、毎日家の残りものを出してくれるようになりました。

そうして、迎えたクリスマス。
ねこは、子どもたちが近くへ来ても、前より逃げなくなって・・・。

* * * * * * *

ねこを気にかける子どもたちと、子どもたちに、次第に心を許していく、ねこ。それは、とてもゆっくりで、お互い様子を伺いながら、少しずつ、少しずつ・・・。

ねこの、1匹でいるときの、目を大きく見開いた顔と、子どもたちに抱かれているときの、細い目をした顔は、まるで違うねこのように、おだやかで、すっかり安心した様子です。それがとてもかわいくて、うれしくて。

細い線を重ねて描かれた銀世界は、とてもきれい。吸い込まれたそうな気持ちになります。

以前にご紹介した、『かぜはどこへいくの』(シャーロット・ゾロトウ作)と同じ、ハワード・ノッツさんの絵本です。