山のクリスマス

『山のクリスマス』

文・絵 ルドウィヒ・ベーメルマンス
訳・編  光吉夏弥
出版社 岩波書店
発行年月日 2012年10月15日
※原題『HANSI』1934年
価格 ¥950+税


学校が、クリスマスの休みに入りました。ハンシは1人で汽車に乗って、馬ぞりに乗って、山に住んでいるハーマンおじさんの家に向かいました。

おじさんは、おばさんと、いとこのリーザールと、犬のワルドルと暮らしていました。ハンスはここで、いろいろな経験をして、素晴らしいクリスマスを過ごします  

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“よその家にとまるのは、たのしいことですが、もっと、すばらしいのは、ねるときに、よく見もしなかったへやで、朝、目をさますことです。”(「ハーマンおじさんの家」より)

小さな男の子、ハンシのおはなしが、8つの章立てになっています。

「町の子ハンシ」
「ハンシ山へいく」
「ハーマンおじさんの家」
「雲とはちみつのおかし」
「ワルドルのたるスキー」
「シカのえさやり」
「三人の王さま」
「さようなら、さようなら」

作者は、「マドレーヌ」シリーズでおはじみのルドウィッヒ・ベーメルマンスさん。本書が、処女作だそうです。ハーマン家の犬ワルドルは、その後の作品である『ヌードル』を思わせるし、ハンスをはじめ、人々のやわらかい表情や、その愛らしさは、やっぱりベーメルマンスさんらしくて、あたたかい心地がします。
「ワルドルのたるスキー」なんて、くすっと笑ってしまうけれど、「シカのえさやり」では、この雪山での暮らしぶりがよく分かります。

見返しには、ハーマン家の裁断図(?)が描かれていて、おはなしに出てくる、ハンシが寝泊まりしていた部屋や、屋根裏部屋がどこにあるのか分かります。同じように、冬を過ごした気持ちになって、うれしくなりました。