ブルくんとかなちゃん

『ブルくんとかなちゃん』

作 ふくざわゆみこ
出版社 福音館書店
発行年 2007年11月15日
※月刊「こどものとも年少版」2003年4月号
価格 ¥800+税


いぬのブルくんが、
かなちゃんの家へやってきました。

かなちゃんと友だちになりたいブルくんでしたが、
ブルくんを怖がって、かなちゃんは泣いてばかり。

「かなちゃんは ぼくが きらいなんだ」

そう思って、犬小屋に入ったきり、
出てこなくなったブルくんでしたが・・・。

* * * * * * *

ブルくんとかなちゃんの目線で描かれているので、絵本の構図はとても低め。(そのため、お母さんとお父さん?の顔は、終始絵本には収まらず・・・)

かなちゃんを見て、「あの ちいさなこと ともだちに なりたいなぁ」と思ったブルくん。その姿はまるで小さな子どものようで、とても健気です。一方かなちゃんはかなちゃんで、自分より大きな犬のブルくんに、どう接していいのか分かりません。

どちらの気持ちも、手に取るように伝わってきます。きっと小さな読者たちは、この1冊の絵本の中で、ブルくんの気持ちになったり、かなちゃんの気持ちになったり、どちらの気持ちにもなって、共感したりするんじゃないかな。

新しい友だちと仲良くなるのは、友だちになってしまえば簡単なことだったように思えても、そのときは一生懸命で、なかなか思うようにいかないときだってあります。

だからこそ、最後の結末はとてもうれしい。
くすっと笑ってしまうようなユーモアもあって、いいなあと思います。



ブルくんのシリーズは、現在、

『ブルくんとかなちゃん』
『ブルくんとかくれんぼ』
『ブルくんかなちゃんいもむしくん』(月刊「こどものとも年少版」2007年9月号)
『ブルくんのおうち』(月刊「こどものとも年少版」2011年4月号)
『ブルくんかなちゃんありんこくん』(月刊「こどものとも年少版」2015年4月号)

の、5作品があり、現在は本作と『ブルくんとかくれんぼ』が単行本化しています。