ブルドーザとなかまたち
『ブルドーザとなかまたち』
作 山本忠敬
出版社 福音館書店
発行年月日 1988年1月30日
※月刊「こどものとも年少版」1984年3月1日号
価格 ¥800円+税
セルフローダが、
工事場にブルドーザを運んできました。
ブルドーザが削り取り、押し集めた土を、
ショベルローダがすくい取り、
ダンプトラックが運んでいきます。
レーキドーザ、ドーザシャベル、
それからパワーショベル・・・
他にもたくさんの車が、工事場で働いています。
精密な絵で描かれた、図鑑のような1冊です。
* * * * * * *
図鑑のような・・・と言ったのは、それぞれの車の絵に、小さな文字で、その車の名前が紹介されているからです。と、言いながら、図鑑と大きく違うのは、おはなしに一連の流れがあるところです。
まずおもしろいのは、絵本のはじまり。扉のページの隅に、小さな女の子と男の子(きょうだいかな?)と、白い犬が描かれています。ところが、ページをめくって本文に入ると、女の子と男の子の姿は、1番最後のページまで出てきません。
わたしの想像ですが、きっと2人はこの工事場を見ているからで、つまり読者のわたしたちは、この女の子と男の子と同じ景色を見ているんじゃないかな。
わんちゃんだけは、ずっとページのどこかに出てきています。工事場の人たちは追い払う訳でもなく、それぞれの役割を担いながら仕事を続けています。
土を削る音や、車の走る音などは、文章に書かれていませんが、臨場感のある絵からは、そんな音や、土のにおいが、感じられるようです。
それにしても、表紙のブルドーザ。
見れば見るほど、つぶらな瞳のかわいいお顔に見えてしまいます。『ずかん・じどうしゃ』もそうですが、こうして正面を向いていると、表情が見えてくるような気がしませんか?