シカのしろちゃん
『シカのしろちゃん』
作 そえじま良子
絵 岡田よしたか
出版社 学研教育出版
発行年 2014年9月26日
価格 ¥1,200+税
ある晩のこと。
女の子のもとに、1匹のシカがやってきました。
シカの名前は“しろ”と言って、
おでこに生えた白い毛がとてもきれいです。
しろちゃんは話を聞いてほしくて、
天から降りてきたのだと言いました。
そしてしろちゃんは、潤んだ目で、
自分のことを話し始めました
* * * * * * *
シカのしろちゃんは、昭和20年代の終わりに生まれた雌鹿で、奈良公園で暮らしていました。花かんむりのような白い毛がきれいで、当時はその珍しい姿から、大変な人気者だったそうです。この絵本は、そんなしろちゃんのおはなしをもとに作られたものです。
ところが、しろちゃんには不幸が続きます。それも、すべて人間の行いがきっかけで・・・。実際にあった、しろちゃんにまつわるこのおはなしを、わたしはこの絵本で初めて知りました。
調べてみると、しろちゃんの生涯については、岡部伊都子さんが『シカの白ちゃん』(1983年、筑摩書房刊)というタイトルで1冊の本を出版されていました。奈良の写真家の、飯村稀市さんの写真が収められているそうです。(こちらも、ぜひ近々読んでみたいです。)
人間とともに暮らす動物たちが、しろちゃんのような思いをしなくてすみますように。みんなが大好きな家族といっしょに、しあわせに暮らせますように。
そのためにも、子どもたちにこのおはなしを知ってもらえたらうれしいなと思います。
※本書は、『白ちゃん』(2013年、京阪奈情報教育出版刊)を再構成したものです。