ぶーぶーじどうしゃ

『ぶーぶーじどうしゃ』

作 山本忠敬
出版社 福音館書店
発行年月日 1998年4月15日
※月刊「こどものとも0.1.2.」1995年8月1日発行
価格 ¥700+税


“ぶーぶー、じどうしゃ。
のってください。”

軽自動車、自動車、マイクロバス、
郵便車、パトロールカー、救急車・・・

いろいろな車が、
見開きにひとつずつ描かれています。

裏表紙には、表紙の車の後ろ姿が。

赤ちゃんから楽しめる「0.1.2.えほん」シリーズ。
とはいえ、本格的なのりもの絵本です。

* * * * * * *

山本忠敬さんの絵本で、これより以前に出ている『ずかん・じどうしゃ』という絵本があります。(「こどものとも年少版」1977年5月号)
見開きごとに、バスのページ、トラックのページ、はたらく車のページ・・・と、種類分けされた車が数台と、それぞれの名前が紹介されている図鑑絵本です。

今日ご紹介したこの『ぶーぶーじどうしゃ』は、その小さい子向け、といったところでしょうか。
見開きで紹介される車が1台ずつというのも、小さな子どもたちには分かりやすく、「ぶーぶー」とか「ぱーぽー ぱーぽー」という風に、たくさんの音が書かれているのもうれしいところ。思わず声に出して、真似をしたくなります。

また、ページの隅には、控えめに描かれた小さな子どもがいます。そのページで紹介されている車に合った、おもちゃの乗りものに乗っていて、ときには犬や猫がいっしょに登場することも。
『ぶーぶーじどうしゃ』にいたっては、おもちゃの乗りものではないものの、やっぱりページの隅に、車に乗った人が小さく描かれています。

実は、最初に読んだとき、この絵がすこし引っかかったんです。
精密な乗りものの絵の横に、この絵は、必要なのかな・・・と。でも、実際に子どもたちに読んでみて、この絵に指を刺したり、うれしそうに笑ったりする子どもたちの様子を見て、気付かされました。子どもたちと絵本とをつなぐ役目を、この小さな絵が担ってくれているんだなあ、と。私はまだまだだなあ、と思い知らされた反面、この絵本の本当の楽しさを知ったような気がしてうれしかったです。

そのことは、『絵本作家のアトリエ1』(福音館書店刊)にも触れられています。あとになってこちらを読んで、山本忠敬さんのことが、もっともっと好きになりました。

山本忠敬さんの乗りもの絵本はたくさんありますが、この『ぶーぶーじどうしゃ』は、その中でも最初に出会う絵本としておすすめしたい1冊です。