おさじさん
『おさじさん』
文 松谷みよ子
絵 東光寺啓
出版社 童心社
発行年 1969年8月30日
価格 ¥700+税
山越え、野越え、おさじさんがやってきました。
“おいしい ものは ありませんか
おくちに はこんで あげますよ”
おさじさんは、うさぎのぼうやのお手伝い。
ぼうやは、おさじさんをしっかり手で持って、
ふう ふう ふう・・・
* * * * * * *
“ぼくは おさじさん
おいしいものを
おくちへ はこぶ きしゃぽっぽ”(本文より)
この表現が、とてもいいなあと思います。お口のトンネルが開いたら、卵のおかゆを“ポッポー”と運ぶ、おさじさん。
小さな小さな子どもたちにとって、おさじさんは、友だちのようなもの。子どもたちが、自分の力で使う、はじめての“道具”であることも多いですよね。
もっと言えば、きっと、子どもたちにとってのおさじは、道具を越えた、心強い存在なんだろうな。
気が向かないときや、どうしても食べたくないときは、うっかりポーンと投げてしまうこともあるけれど・・・。それでも、子どもたちそれぞれが、このうさぎのぼうやのように、大切な友だちとなるようなおさじさんと出会えたらいいな、と思います。