ゆくえふめいのミルクやさん
『ゆくえふめいのミルクやさん』
作・絵 ロジャー・デュボアザン
訳 山下明生
出版社 童話館出版
発行年月日 1997年11月5日
※原書『THE MISSING MILKMAN』1967年発行(アメリカ)
価格 ¥1,400+税
ミルク屋さんは、毎朝4時に起きて、
犬のシルビアといっしょに、配達へ出掛けます。
毎日、毎日、照る日も、降る日も、雪の日も。
そんなある日のこと、
いつものように出掛けたミルク屋さんは、
どの家の前でも止まりませんでした。
気のむくままに、
先へ先へと進みはじめました
* * * * * * *
ミルク屋さんの愛車は、アメリアという名前でした。犬のシルビアといっしょにアメリアに乗って、分かれ道がくれば、「ドチラニ イコウカ カミサマノ イウトオリ」なんておまじないをしたり、コインを投げてみたりして、どこまでも、どこまでも進んでいきました。
3人は(正確には、1人と、1匹と、1台は)、まるで親友のように、お互いを信頼して、この旅を楽しんでいるみたい。
けれど、そんな彼らにも、とうとう帰るときがやってきます。
変わらない日常に、なんとなく嫌気がさしたり、つまらなく思ったり、そんなことってありますよね。ミルク屋さんのように、誰もいない、うんと遠くへ、旅に出たくなったり。
でも、離れてみて、分かることもあります。当たり前だったことが、ふと、恋しくなったり。自分にとって、それが大切だったことに、はじめて気が付いたり。
そう気付いたミルク屋さんの日常は、それまでとは、大きく変わったんじゃないかな。はたから見ると、何も変わってないように見えても、きっと。
挿し絵は、カラーと白黒のページが、交互になっています。デュボアザンらしい、鮮やかだけれど落ち着いた、味わい深い色使いが、とてもすてきです。
※漢字にはルビがふってありますが、漢数字や簡単な漢字には、ふっていないところもあります。