せきたんやのくまさん
『せきたんやのくまさん』
作・絵 フィービとセルビ・ウォージントン
訳 いしいももこ
出版社 福音館書店
発行日 1987年5月30日
価格 ¥900+税
※原書『TEDDY BEAR COALMAN』1948年発行(イギリス)
石炭屋のくまさんは、
馬と、荷馬車と、石炭の入った小さい袋をたくさん持っていました。
くまさんは、朝早く起きて朝ごはんを食べると、
荷馬車に乗って家々の戸を叩き、石炭を届けて回ります。
石炭がすっかりなくなると、家へ帰って、ひとやすみ。
石炭屋のくまさんの、ある1日を描いた1冊です。
* * * * * * *
“あるところに、○○やの くまさんが すんでいました。
くまさんは、・・・と、・・・と、・・・を、もっていました。”
この「くまさん」シリーズのはじまりは、だいたいいつもこんな風に、くまさんの服装とともに、どんなものを持っているか、というところから始まります。
子どもたちに何かの職業を紹介するとき、どんな格好で、どんなものを持っているか、というのは、きっととても大切で、私はこの冒頭のところが、すごくいいなあと思っています。
そういえば先日、日本テレビさんの「はじめてのおつかい」を見ていたら、こんなことをおっしゃっていました。番組スタッフが何かの職業に変装するときは、できるだけ大げさな変装をする、と。そうすると、子どもたちに安心してもらいやすいそうです。
なるほどなあ、と思いました。
「知識」や「経験値」がまだまだ少ない子どもたちだからこそ、服装や、何を持っているかということは、その人を判断するうえで、とても重要なポイントですよね。
子どもたちが小さなアイテムひとつで(例えば新聞紙でできた剣や、布を巻いただけのエプロンなんかで)気持ちまですっかり大変身してしまう様子を見ても、服装やアイテムは、子どもたちにとって別世界への入り口なのだと思います。
この絵本を読んで、くまさんの1日にすっと入り込めるのは、この冒頭が、くまさんの世界への大切な入り口になっているんですね。