かえるをのんだととさん
『かえるをのんだととさん』
再話 日野十成
絵 斉藤隆夫
出版社 福音館書店
発行日 2008年1月25日
※月刊「こどものとも」2004年1月1日発行
価格 ¥800+税
“むかし あるところに、なかのいい
ととさんと かかさんが すんでおったと。”(本文より)
ある日のこと、ととさんはお腹が痛くなってしまいました。
お寺のおしょうさまが言うには、お腹の中に虫がいるせいだから、
かえるを飲むといい、とのこと。
そこでととさんは、かえるを飲みました。
かえるが虫を食べてくれたおかげで、気持ちは良くなったけれど、
それもつかの間、今後はかえるがお腹の中を歩いて、気持ち悪い。
それではと、ととさんは、かえるを食べてくれるヘビを、
ヘビを食べてくれるキジを、さらには漁師を、鬼を・・・と、
おしょうさまに言われるまま、次々と飲んでいきました。
ところが今度は、鬼の“つの”がお腹に刺さって痛いそう。
そこでおしょうさまは、ととさんに口を開けるようにいいました
* * * * * * *
新潟県の「まわりもちの運命」という昔話をもとにした、おはなしです。
はちゃめちゃな展開に驚いてしまうけれど、おしょうさまはなぜか淡々としていて、そこがまた可笑しくなってしまいます。
ととさんがお腹を痛めるたび、「かかさんやぁ」と奥さんを呼んで、そのたびに奥さん(かかさん)が「おしょうさまに ききなされ」というやりとりをするのですが、この繰り返しも、とても楽しいです。
「~だと。」という語り口調も、昔話の雰囲気をぐっと高めていて、いいなあと思います。
もともと昔話というのは、語り継がれているものなので、絵にするのが難しいものもありますが(このお話も、本来ならそうでしょうが)、斉藤隆夫さんは、ユーモアを含ませながら見事に表現されています。
人や動物たちの表情も、愛嬌たっぷりでかわいいです。
最後のオチは、すっきり爽快!節分にもおすすめの1冊です。