アンガスとあひる
『アンガスとあひる』
作・絵 マージョリー・フラック
訳 瀬田貞二
出版社 福音館書店
発行日 1974年7月15日
価格 ¥1,100+税
※原書『ANGUS AND THE DUCKS』1930年発行(アメリカ)
ある家に、アンガスという子犬が住んでいました。
アンガスは、とても知りたがり屋の子犬で、
見るもの、嗅ぐもの、とにかくなんでも知りたがりました。
そんなアンガスが1番知りたがったのは、
家の庭の、生垣の向こう側から聞こえてくる、やかましい音のこと。
ある日のこと、アンガスは家を飛び出すと、
その正体を突き止めに、生垣の向こうに出ました。
するとそこにいたのは、2羽のあひるでした。
うなる、アンガス。逃げる、あひるたち。
ところがあひるたちも、負けてはいられません。
2羽は、なにやら話し合ったかと思うと、
突然アンガスの方を向いて・・・。
* * * * * * *
マージョリー・フラックさんの「アンガス」シリーズ、
1作目のおはなしです。
カラーの見開きと白黒の見開きが交互に描かれていて、
とてもテンポの良い絵本です。
文章の割り振りも、とても魅力的で、
たとえば、アンガスがあひるに出会うシーンでは、
ページの最後に、
“そこで アンガスは、かきねの したに もぐりこんで、”
とまで書いてあって、
(そうしたら、次のページをめくらずにはいられませんよね。そして・・・)
ページをめくったところに、
“むこうがわに でました。”
と、書いてあります。
(そこでやっと、アンガスとあひるが顔を見合わす姿が描かれています。)
ぐぐっと引き込まれる、文章の組み立てです。
他にも、言葉のリズムだったり、絵の構図だったり、
思わず夢中になるしかけが、いたるところに散りばめられています。
洒落っ気のあるオチ(とくに、そのときのアンガスの表情)も、見どころですよ。