アレクサンダとぜんまいねずみ

『アレクサンダとぜんまいねずみ ともだちをみつけたねずみのはなし』

作 レオ・レオ二
訳 谷川俊太郎
出版社 好学社
発行年 1975
価格 ¥1,456+税


ねずみのアレクサンダは、食べるものを探しにやってきた人間の家で、ぜんまいねずみのウィリーと出会います。彼は、アニーという女の子のお気に入りのおもちゃでした。2匹は友だちになりましたが、アレクサンダはウィリーの家から帰ってひとりぼっちになったとき、彼のようなぜんまいねずみになりたいと思うのでした。そんなある日のこと、生きものを他の生きものに変えることのできるいう魔法のとかげの話を聞きました・・・。

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著者は、絵本『スイミー』や『フレデリック』を手掛けるレオ・レオ二。彼の作品のなかでも、本書は千代紙を使ったコラージュを用いられていて、なんだか親しみを感じます。
レオ・レオ二は、孫のために作ったお話が元となってできた『あおくんときいろちゃん』で絵本作家としてデビューしました。彼の作品はいつも、「自己」とか「個性」とか、アイデンティティのようなものが根本にあるような気がします。そういうと、教育的な・・・なにか難しい絵本のように捉えられてしまうかもしれませんが、レオ・レオ二のそういった根本にあるテーマのようなものはいたってシンプルで、分かりやすい。それは、私が彼の作品に魅力を感じる理由のひとつです。もちろん、さまざまな技法によって描かれる絵の素晴らしさは言うまでもありません。

今年は刈谷市美術館(愛知県)と宇都宮美術館(栃木県)にてレオ・レオ二の原画展も開催されます(刈谷市美術館では現在開催中)。お近くの方は、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。